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2008年10月08日掲載

小山内 大和〜最速143キロで6安打 小山内完封

〈余裕の119球〉
余裕があった。3点リードの9回。先頭打者を味方のエラーで出しても、富山・小山内はまったく慌てることはなかった。「常に上から見下ろす感じだった」次の打者を併殺に打ち取り、最後の打者は見逃し三振に。

119球の完封ショーを簡単に終えると、安どの表情でハイタッチを交わした。
リーグ制覇がかかった大事な初戦でも、1点あれば十分だった。大きく割れるカーブを見せ球に、最速143キロの直球を武器に、飛ばしに飛ばす。2回無死一、二塁のピンチを切り抜けると、テンポの良い投球で凡打の山を築いた。リーグトップのチーム打率(2割7分2厘)を誇る群馬打線に、三塁も踏ませない6安打完封。「立ち上がりは悪かったけど、僕にも意地がある。初回の1点で、勝ってやろうと思った」群馬・富岡とのエース対決も制し、白い歯がこぼれた。

〈G坂本刺激〉
忘れられない光景がある。四国IL・愛媛での昨年7月19日。松山坊っちゃんスタジアムで行われたフレッシュオールスターを観戦した。巨人・坂本勇人内野手(19)ら、NPBの若手選手に熱視線を送る中、四国で伸び悩んでいた小山内は、大きな自信をつかんだ。
「プロの打者でも打って3割。それまで細かい制球ばかり気にしていたけど、強気に投げることが大事だと思った」それ以降、愛媛では後期だけで7勝とフル回転し、富山移籍1年目に最多勝、防御率の投手タイトル2冠をゲット。たった数時間の試合だったが、この試合が背番号48を大きくした。

〈29回無失点〉
エースの快投で、雷鳥軍団は敵地で戦勝。鈴木康友監督(49)は「小山内はフィールディングも見事だったし、余裕を持って投げていた。まだ先は長いけど、この1勝は大きい」とエースを手放しで褒めた。9月13日の群馬戦から続く無失点記録を29イニングに伸ばした小山内は「早く優勝を決めたい」。“ドクターゼロ”の視線には「リーグ制覇」の5文字しか映っていない。

〈優士2安打2打点〉
群馬の夜空を、優士が切り裂いた。2点リードの8回2死二塁。カウント1−2からの直球を強振すると、打球は弾丸ライナーで中堅手の頭上を襲った。ダメ押し適時三塁打だ。初回にも先制点をたたき出し、2安打2打点。「次の打者がおかわり(野原)だったんで、つなぐ気持ちで打った」打のヒーローとなったが、冷静に試合を振り返った。

3月のキャンプ中に腰を痛め、開幕には間に合わなかった。5月にスタメンに戻り、8月下旬から3番に座ったが、打率、本塁打、打点と昨年の数字を1つも上回ることができなかった。「シーズンの大事なところで打てなかったし、チームに迷惑をかけた」とリーグ戦を振り返ったが、それもリーグCSの初戦で振り払った。
「久しぶりに打てて良かった」どこまでも冷静だったが、背番号7には充実感が漂っていた。

プロフィール

とやま・いしかわ報知
「スポーツ報知」にて富山、石川に密着したスポーツ記事を掲載中。

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