小園 司〜小園 開幕任せろ!
マウンドの47が大きく見える。小園が177センチの体を躍動させた。
伸びのある直球に、新たに覚えたシュートは打者の手元で鋭く変化した。
6回で被安打4、1失点。
「調子は良くなかったです」と本人は不満げだが、鈴木康友監督(47)は「よく投げた。開幕投手?競馬で言えば三十丸。いや黒三角かも(笑い)。
有力候補の一人なのは間違いない」とドラフト一位右腕に大きな期待をかけた。
初回から飛ばした。いきなり2者連続三振を奪うと、その後も丁寧な投球でスコアボードに0を並べた。4回の無死満塁のピンチも失策絡みの1点でしのぐと5回、6回は3人で切って取る。三振も6個を数え、チームの勝利に大きく貢献した。
「6回が終わった時点で、完投もできるなと思いました」と小園は自信を見せた。阪南大3年になってから肩、ひじ、腰と故障を連発。けがが癒えた去年秋まで約2年半、ボールを投げられなかった。不安と戦いながら投球回数を増やし、この試合が故障後最長のイニングとなった。「よくなっています」自然と笑みがこぼれた。
復活した右腕は、新たな武器も手に入れていた。西武などで活躍した横田久則コーチ(39)直伝のシュートだ。3月末から練習し、早々とものにした。持ち球はスライダーとカーブだけだったが、逆方向への変化球も増え幅が広がった。「ファウルも空振りも取れる」と手応えは十分だ。
埼玉に住む妻・美奈子さん(31)は29日のホーム初戦を観戦する予定だが、28日の開幕戦は敵地・三条で行われる新潟戦。「29日に来てくれるんですけど、自分は新潟で投げたいんで」と小園。
開幕戦で勝ち投手になり、胸を張って富山で吉報を伝える。