山内 匠二〜追撃打!!逆転打!!山内だ!!
〈最年長27歳〉
無心だった。手に残る確かな感触を無視して、富山・山内は懸命に一塁ベースを蹴った。「いいところで打てて良かった」二塁ベース上で逆転に沸く応援席に目をやり、ようやく白い歯を見せた。
1人で試合を決めた。3点差の2回、追撃の左中間2点三塁打を放つと、同点に追いついた4回1死1、3塁。外角の直球を強振すると、打球は左中間を切り裂く逆転2点二塁打となり2安打4打点。19日に初失策をしたが、守りでも9度の守備機会を無難にこなした。「(先発の)木谷のために、なんとかしたかった」と声もはじけた。
〈腰痛こらえ〉
1980年生まれの松坂世代でチーム最年長だが、練習に対する姿勢は、誰よりもどん欲だ。2年前から腰痛を患っているが「守備、足、声に不調はない」と声を張り上げ、白球を追う。この日の第1打席で、10打席連続無安打。独特の風ぼうでファンからも“ガンジー”の愛称で親しまれる男は不振に陥り、鈴木康友監督からゲキを飛ばされっぱなしだった。それでも、この日の試合前の打撃練習で「体が突っ込んでいる」と冷静に自身の打撃を分析。右足のステップ幅を2足分狭め、答えを出した。
〈1番で上昇〉
5月まで打率2割2分だったが、1番に定着した6月は3割9分5厘。「今日の動きができれば、結果はついてくる」27歳の核弾頭とともに、雷鳥軍団がVロードを突っ走る。
〈木谷中4日も尻上がり5勝〉
自身初の中4日で先発した右腕・木谷智朗(26)が、7回3失点で5勝目。初回に4安打を浴び、一気に3点を許したが、2回以降はカーブ、スライダーを軸に、尻上がりに調子を上げた。今季、四国IL・愛媛から加入し、これで福井から4勝目。木谷は「明日勝てば(前期優勝へ)乗っていける」と疲れも見せず、前向きだった。