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2008年10月12日掲載

草島起死回生3ラン!!優士サヨナラ打!!富山初V

〈群馬に3連勝〉
富山サンダーバーズが破竹の3連勝で、上越地区優勝の群馬ダイヤモンドペガサスを下し、BCリーグ優勝を決めた。3点を追う9回2死一、二塁の土壇場で草島諭(24)が起死回生の右越え場外3ラン。奇跡的な同点弾で流れをつかむと、延長10回2死一、三塁から優士(25)がサヨナラ二塁内野安打。4−3と、劇的Vを飾った。富山は17日、開幕の日本独立リーグ・グランドチャンピオンシップで四国IL覇者・香川オリーブガイナーズと激突する。

〈死闘3時間55分〉
鳥肌が立つような試合内容に、鈴木康友監督(49)も、すっかり心を奪われた。延長10回2死一、三塁。優士の二塁内野安打で決めた劇的サヨナラV。その瞬間、指揮官の目も真っ赤に染まっていた。「長いことやっているけど、こんな感動的な試合はない」3時間55分のドラマの後には、5回の胴上げが待っていた。ただただ、リーグ制覇の余韻に浸った。

ゼロからのスタートだった。07年3月5日、産声をあげた富山。だが、転々とする練習場の中には、ホームベースもないグラウンドもあった。指揮官が引越し用ダンボールでホームベースの代用品を作り、その場をしのいだが、わずか10段の階段でトレーニングしたことも。「さすがにびっくりした」と主砲の野原。慣れない環境に不安な日々が続いた。

1年目は石川とのマッチレースに敗れ、初代王者の座を逃した。悔し涙に暮れる中、選手たちはその年限りでチームを去ることになった宮地克彦プレーイングコーチ(現ソフトバンク)に「おまえらで、『監督を胴上げする』という俺の夢をかなえてくれ」と声をかけられた。廣田嘉明主将ら多くの選手が今も尊敬する選手としてあげる男の一言。「宮地さんの夢もかなえたかった」と燃えに燃えた。

2年目の4月からは公式練習場として、立山球場を使用。5月には球団ワースト6連敗を喫したが、打線は野原中心のつなぎ野球に徹し、投手陣はエース・小山内大和を軸に戦い抜いた。「去年は大味な試合が多かったけど、今年は粘り強くなった」と指揮官。リーグ優勝が懸かったこの日の戦いも、誰もが負けを覚悟した9回、草島が同点3ラン。一気に頂点まで突っ走った。

17日から、昨年、石川を圧倒した香川と独立リーグ日本一を懸けて戦う。「まだ、終わりじゃないから」と鈴木監督。雷鳥軍団の伝説は、まだ終わらない。

〈草島9回2死フルカウントから場外弾〉
悩めるスラッガー、草島の“今季1号”となる場外3ランで勝利を引き寄せた。3点ビハインドの9回2死一、二塁のフルカウントで、ど真ん中の速球を迷わずフルスイング。「手応えも完ぺき。打った瞬間に行くと思った」と草島。大きな放物線を描き、ボールは球場外の林に消えた。

どん底からの復活だった。昨年は主軸として、打率3割3分8厘、本塁打13本で共にリーグ2位を記録。
しかし、春先に右ひざ、背中、かかとを次々に故障。絶不調に陥り、今季は代打要員としてベンチを温めることもしばしば。「心が折れそうだったけど、ファンの応援が元気をくれた」と地道に練習。最後にその努力が報われた。

「レベルの高い香川の投手から、今日みたいに打ちます」と草島。日本一を決める大舞台で、完全復活を目指す。

プロフィール

とやま・いしかわ報知
「スポーツ報知」にて富山、石川に密着したスポーツ記事を掲載中。

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