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2008年10月04日掲載

富山北陸制覇 康友監督宙に舞った

富山サンダーバーズが北陸地区優勝を飾った。初回に野原祐也(23)の中前適時打で先制すると、続く町田一也(22)が右越え2ラン。その後も着実に加点し、投げては後期から先発に回った右腕・田中孝次(24)が8回2失点。9回に2点を許したが、石川ミリオンスターズを5−4で振り切った。上信越地区優勝の群馬ダイヤモンドペガサスとのBCリーグチャンピオンシップは7日、開幕する。

〈打倒石川果たした〉
最高の笑顔を輝かせ、富山・鈴木康友監督(49)がマウンドに向かった。苦しみながらも石川を下し、北陸王者。魚津の夜空に3度、舞った。「やっと石川の上に立つことが出来ました」目を真っ赤にして、ようやくつかんだ歓喜を喜んだ。
“打倒・石川”が合言葉だった。昨年は石川との壮絶なデットヒートを繰り広げたが、石川の前に力尽きV逸。

2冠王の野原ら強打を売りとしたが、最後は石川・金森栄治監督の胴上げを目の当たりした。
「去年の悔しさを持って戦おう」ミーティングの指揮官には、自然と石川を意識する言葉が口に付いた。全体練習がスタートした3月からは石川のような「勝てる野球」を追求。
ノックでふがいないプレーが続くと、指揮官は練習を中断し、「おまえら去年負けた理由はなんだ。石川に守備で負けたんじゃないのか」とゲキを飛ばした。

リーグが開幕してもその姿勢を崩さず、試合後は反省練習に汗を流した。前後期優勝を飾ったが、「北陸で優勝しないと素直に喜べなかった」と野原。選手たちは街中で知らない人から「石川だけには負けるな」と声をかけられたこともあって、ライバルへの対抗心が日増しに強くなった。

1年間のリベンジの念は、この試合で爆発。町田の2ランを含む3打点に、マウンドでは田中が8回2失点。1点差に追い上げられたが、昨年石川が初代王者に君臨してから353日後。宿敵を粉砕し、北陸の頂点に立った。

BCリーグチャンピオンシップでは、群馬が待ちかまえる。指揮官は「寒くなるまで野球をやります」とファンの前で宣言した。大きな自信をつかんだ雷鳥軍団が7日、敵地・群馬に乗り込む。

〈鈴木康友監督手記〉
前後期で優勝したけど、プレーオフで石川に勝つまでは喜べなかった。去年は石川の前に悔しい思いをして、今日勝ててホントにうれしいですね。

今年一年は勝つことにこだわってやってきた。その中で、立山球場で練習が出来るようになったのが、チームのレベルアップにつながったかなと思う。去年は県営富山、城光寺、桃山を行ったり来たり。
しかも時間制限がある中で練習してきたわけですから。

立山球場で練習するようになった5月に、チームはワーストの6連敗。連敗中の5月12日に立山球場から車で5分ぐらいの田んぼで田植えをしたんだけど、あの時はチームがどうなるのかと不安だった。稲はすくすく育ていくのに…。「野球選手も稲みたいに育てば」と何度か思った。

そんな中で5月28日の石川戦で小山内が完封。今季石川戦初勝利だったんだけど、あの1勝で1年間の戦い方が見えてきた。「大和が投げれば負けない」って選手も自信を持って戦うようになったしね。稲は結局、9月17日に収穫したんだけど、立山球場で練習を重ねていくたびに、稲と選手がダブって見えた。この4ヶ月で選手は確実に大きく育ったと思う。

1年目のチームスタート時は練習場にホームベースもなくて、引っ越しのダンボールを切って練習していた。何もないところからのスタートだった。2年目に立山球場で課題を1つずつクリアして、前後期優勝の収穫を得て、石川を倒しての北陸優勝。試合は続くけど、1つでも上を目指して、チーム一丸戦っていきたいですね。

プロフィール

とやま・いしかわ報知
「スポーツ報知」にて富山、石川に密着したスポーツ記事を掲載中。

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