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2007年10月17日掲載

串田 裕紀〜サンダーバーズ一本串田

〈富山商・串田裕紀が北信越BCリーグの富山入りを希望〉
富山商野球部のエース・串田裕紀(3年)が、北信越BCリーグの富山サンダーバーズ入りを希望していることが16日、分かった。すでに合同トライアウトの参加申込書も提出しており、合格すれば地元枠での富山入りが濃厚。今夏の甲子園出場こそ逃したものの昨秋、今春とチームを県優勝に導いた右腕だけに、注目を集めそうだ。

〈7月交流戦観戦〉
富山高校球界NO1右腕が、BCリーグに挑戦する。卒業後の進路が注目されていた串田だが、選んだのは地元でのプレーだった。7月31日に富山アルペンスタジアムで行われたBCリーグオールスター対フューチャーズ(NPBの若手選抜)の交流戦を観戦するなど、今季開幕したBCリーグに興味を持っていた。
 
来季からBCリーグでプレーするには新潟、信濃、富山、石川に来季加盟予定の福井、群馬の6球団による2度の合同トライアウトを通過することが条件。その後のドラフト会議で入団先が決まるが、地元出身選手は優先的に入団できるとあって、串田は富山の指名が濃厚。串田も富山入りを希望しているとあって障害はない。
 
1年から主戦投手とした串田は最速139キロの直球に加え、キレのあるスライダー、カーブ、フォークと豊富な球種が持ち味。2年秋、3年春にはエースとしてチームを県優勝に導いた。今夏は決勝で桜井に敗れ甲子園出場こそ逃したが、実力では全国レベル。ソフトバンクの山崎スカウトも「投球をよく知っている。外角のボール1つの出し入れもできるし、高校レベルでは打ち崩すのは難しい。いい投手です」と評価していた。
 
富山は今季、チーム打率3割超と打ちまくりながら、序盤は救援投手陣が打ち込まれ、夏場になると小園司(25)、大瀧紀彦(23)の2枚看板が故障で一時離脱。来季へ向けてのポイントは投手とあって、串田が加入すれば、これ以上ない補強となる。また、投手陣で富山出身の選手はいないため、人気の面でも大きなプラスになるはず。来季の大きな目玉になるのは間違いない。

2007年10月16日掲載

16日にも初代王者決定 M1石川対2位富山

初代王者は石川か、富山か―。プロ野球独立リーグ・北信越BCの初代王者が、16日にも決まる。首位の石川ミリオンスターズと2位・富山サンダーバーズの最後の直接対決は午後6時半、石川県立野球場でプレーボール。石川が勝つか引き分けると優勝が決まる大一番。逆転Vには勝つしかない富山は15日、魚津市内で約3時間の最終調整。リラックスムードで、決戦に備えた。

〈富山残り2試合「あきらめない」〉 
勝利以外の結果の場合、すべてが終わる16日の首位決戦。追いつめられた形の富山だが、選手たちの表情は驚くほど明るい。時折、笑顔も見せながら、フリー打撃など軽めの調整。鈴木康友監督(48)も選手の輪に入り、冗談を言ってはナインの笑いを誘う。「自力優勝の可能性はないが、練習を見ていると雰囲気もいい。残り2試合、勝ってくれると信じてます」と言い切った。

優勝するには、16日の直接対決での勝利が絶対条件。さらに17日に富山が信濃に勝利。石川が新潟に負けないと、勝率で上回ることができない。「過去にも目の前で(相手の)胴上げを経験したが、何としても、それは阻止したい」と指揮官。14日の信濃戦で3ラン。不調の長いトンネルから抜けた井野口祐介(22)も「明日で決めさせるつもりはないです」と言葉に力を込めた。
 
17日の最終戦で使用する魚津桃山野球場で15日の練習を行うなど、チームは最後まで優勝をあきらめていない。「優勝確率は10%、20%かもしれない。ただ、決まったわけではないから」と鈴木監督。ネバーギブアップの精神で、奇跡の逆転優勝を狙う。

2007年10月15日掲載

諦めない

〈富山が逆転勝ちで優勝に望み〉
富山サンダーバーズが信濃に6―3で、逆転勝ちし、優勝に望みをつないだ。富山は4035人の大観衆の前で、けがで8月25日以来の先発となった大滝紀彦(23)が5回途中3失点の粘りの投球。8回に宮地克彦選手兼任コーチ(37)が執念の左前適時打で決勝点を叩き出した。石川ミリオンスターズは新潟を下し、マジックを1にしたため、富山が逆転優勝を果たす条件はきわめて厳しいが、最後の最後まで全力で戦う。

〈全員野球で希望つなげた 残り2戦連勝するだけ〉
執念以外の何ものでもなかった。3―3の8回1死満塁。外角に落ちるシンカーに、富山・宮地は体全体で食らいついた。打球が三遊間を抜けると、城光寺球場今季最多の4035人の観客から大歓声がわき上がった。頼れる背番号8から決勝点が生まれた。「この場面で打てないと1年間の意味がない。ファンの方が力を与えてくれました」
 
石川にマジック2が点灯。絶対不利の状況だった。だが富山には選手を後押しするファンがいた。内野席を埋め尽くし、外野席まで緑の応援団があふれた。「これだけ追いつめられても大勢の人が優勝を信じて応援してくれる。負けられない」井野口祐介(22)の言葉は選手全員の気持ちだった。
 
背水のマウンド。そこには右ひじと右肩の故障で、約1か月半、戦線を離脱していた大滝が立っていた。完治はしていないが「どうにか(チームのために)投げたかった。急ピッチで仕上げました」失策でペースを乱されたが、5回途中3失点で中継ぎエース・五艘祐一(21)につないだ。
 
投手陣に打線も応えた。リーグ打点王ながら、ここ6試合打点なし。27打数3安打の井野口が0―2の4回無死一、二塁で左翼場外に逆転3ラン。「周りに切り替えていこうと励まされた。うれしかった」1年間戦ってきた仲間が不振の5番の力になった。5回に同点に追いつかれたが、8回に宮地と優士(24)の連続適時打で勝ち越し。最後は守護神・田中孝次(23)がしめた。
 
「プロ野球経験のある僕でも、負けられない試合というのは緊張した」西武とソフトバンクで優勝争いを繰り広げてきた宮地も認めるタフな試合で、全員が力を出し切って勝った。残り2戦。「勝つためには何でもやります」と大滝。可能性が残っている限り、富山は初代王者を最後まであきらめない。

2007年10月14日掲載

草島・野原アベック弾 生出リベンジ1失点完投

〈石川快勝M2も富山が大勝し奇跡の逆転Vへ賭ける〉
富山サンダーバーズが奇跡の逆転優勝へ踏みとどまった。2位の富山は新潟アルビレックスBCと対戦。草島諭(23)、野原祐也(22)のアベック本塁打などで12安打を放つと、先発・生出和也(23)も4安打1失点で完投。10―1で大勝した。首位の石川ミリオンスターズは信濃グランセローズに快勝。優勝へのマジックを2に減らし14日にも優勝が決まるが、富山は最後まであきらめない。

〈逆転Vへ残り3戦全部勝つ 序盤で決めた〉
絶対負けられない一戦。富山ナインの目の輝きが違っていた。「ねちっこく見ていけ。新潟の投手は四球をくれる」鈴木康友監督(48)の指示をしっかり守った。1回、3連続四球で無死満塁とすると野原が気迫の中前適時打。「自分が初回のチャンスに打てなくて負ける試合が続いてた。自分が打てれば」主砲の先制打を手始めに一挙4得点。序盤で勝負を決めた。

12日、石川との直接対決で完敗。ライバルに優勝へのマジック3が点灯した。「正直ちょっと(がっくり)きました」と野原。だが、首脳陣はあきらめていない。試合前、「このリーグは何が起こるか分からない。優勝が決まったわけじゃない」と西武、巨人など選手、コーチで優勝を経験した指揮官はゲキを飛ばした。

〈"KY"リーグ〉
西武、ソフトバンクで優勝争いを経験している宮地克彦選手兼任コーチ(37)は「プロではこの試合で勢いがつく、この試合で心が折れるという試合はあったが、ここでは信じられないプレーが飛び出す。流れも結果も読めない。空気が読めない、“KY”リーグなんだよ」と流行の言葉で表現した。石川の有利は動かないが、何が起こるかわからない。だからこそ、選手に全力プレーを訴えた。

〈あきらめない〉
首脳陣の言葉にナインは応えた。7日の新潟戦、3回途中7失点でKOされた生出は、別人のような投球で1失点の完投勝利。12日の試合中、本塁上のクロスプレーでけがをした広田嘉明主将(26)に代わりマスクをかぶった杉野篤人(23)はていねいなリードで勝利に貢献した。湿りがちの打線も復活。「あと3試合、持てる力を出し切るだけです」と杉野。富山は、まだあきらめない。

2007年10月08日掲載

富山首位陥落、最下位新潟に0―17記録的大敗

〈最下位新潟に…投手陣崩壊〉
富山サンダーバーズが、最下位の新潟に0―17の記録的大敗を喫し、首位から陥落した。先発・生出和也(23)が、4四死球、8安打、7失点で3回途中KO。リリーフした松本真佐紀(23)も2本塁打を浴びるなど、投手陣が崩壊し、今季ワーストの17失点。打線もつながらず今季2度目の完封負け。BC初代王者に向け、痛すぎる1敗となった。

〈前日首位攻防耐え「燃え尽き」鈴木監督〉
サンドバッグのように打たれ続ける投手陣。どちらが首位なのか、わからないゲーム内容で、富山が完敗した。今季最悪の負けっぷりに、ナインもがっくり。鈴木康友監督(48)も「(前日)首位攻防戦が終わり、ホッとしていた。燃え尽き症候群。新潟の勢いを感じたが、ちょっとこれでは…」と、言葉を失った。

試合は序盤に決まった。いきなりの守備の乱れ。生出も調子に乗れないまま、制球を乱し、途中降板。新潟打線の猛打に、リリーフ陣も大崩れ。自慢の打線も、散発6安打とつながりを欠いた。

石川とのマッチレースのなか、残りゲームは6つ。無安打に終わった5番・井野口祐介(22)は「どこかで気が緩んだ部分が出ていたかも。でも、もう落ち込んでも仕方ない。やるしかありません」と気持ちを切り替えていた。

2007年10月07日掲載

富山1位守った、首位攻防戦にBC最多8539人

首位・富山サンダーバーズと2位・石川ミリオンスターズの首位攻防戦は、1―1のドローに終わった。リーグ最多となる8539人の観客が訪れる中、富山のエース小園司(25)と石川の都卓磨(28)が、白熱した投手戦を展開。富山は5回1死一、三塁で1番・塚本雄一郎(22)の左前適時打で先制。しかし、石川は9回1死満塁で、2番・山出芳敬(24)の右前適時打で同点に追いついた。

〈サンダーバーズの本拠をグリーンに染め援護石川とドローで1差キープ〉
富山市民球場に大歓声が響き渡った。リーグ最多となる8539人の観客。富山の好プレーが出るたびに、観客は立ち上がって声を上げた。エース、小園は、「こんなに多いお客さんの中で投げるのは初めて。鳥肌が立ちました」と応援を背に受け、力投を見せた。

スタッフ、選手全員の努力が実った。優勝を実現させようと、「アルペン3万人グリーン作戦」を掲げ、3週間前から準備を開始。スタッフが手分けして、企業や労働組合、学校など、130か所を地道に回り、来場を呼びかけた。イベントなどで配ったビラは10万枚。時には選手自ら手渡してアピールした。

その成果は実った。開場の3時間以上も前から行列が出来はじめ、続々と来場。試合が始まっても増え続け、6回終了時にはこれまで最高だった7190人を上回る人数を記録。全員にA2サイズのグリーンボードが配られ、5回の攻撃時にはスタンドが緑一色に染まった。

その観客の熱気に選手たちも応えた。ひじ痛の故障から復帰したばかりの小園は、初回から全力投球。切れのあるスライダーとシュートを駆使し、三振を奪うと力強くガッツポーズ。6回1死三塁ではスクイズを外してピンチを切り抜けると、終盤まで安定した投球でチームを引っ張った。

1点をリードした9回1死一、二塁で、一ゴロが人工芝と土の境目でイレギュラーし、町田一也(21)が痛恨の失策。その直後に同点打を許したが、白熱した好ゲームに富山ナインは胸を張った。鈴木康友監督(48)は、「あの失策は仕方ない。それより選手はよく守って、今までにない好ゲームが出来た。観客と一体となり、初年度のリーグで歴史に残る試合だった」と充実の笑顔。

ゲーム差1をリードし、残り7試合に挑む。「みんなの声援はすごくパワーになった。次もエースらしい投球を見せたい」と小園。県民の応援を後押しを受け、念願の優勝に突き進む。

プロフィール

とやま・いしかわ報知
「スポーツ報知」にて富山、石川に密着したスポーツ記事を掲載中。

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