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2007年04月22日掲載

小園 司〜小園 開幕任せろ!

マウンドの47が大きく見える。小園が177センチの体を躍動させた。
伸びのある直球に、新たに覚えたシュートは打者の手元で鋭く変化した。
6回で被安打4、1失点。
「調子は良くなかったです」と本人は不満げだが、鈴木康友監督(47)は「よく投げた。開幕投手?競馬で言えば三十丸。いや黒三角かも(笑い)。
有力候補の一人なのは間違いない」とドラフト一位右腕に大きな期待をかけた。

初回から飛ばした。いきなり2者連続三振を奪うと、その後も丁寧な投球でスコアボードに0を並べた。4回の無死満塁のピンチも失策絡みの1点でしのぐと5回、6回は3人で切って取る。三振も6個を数え、チームの勝利に大きく貢献した。

「6回が終わった時点で、完投もできるなと思いました」と小園は自信を見せた。阪南大3年になってから肩、ひじ、腰と故障を連発。けがが癒えた去年秋まで約2年半、ボールを投げられなかった。不安と戦いながら投球回数を増やし、この試合が故障後最長のイニングとなった。「よくなっています」自然と笑みがこぼれた。

復活した右腕は、新たな武器も手に入れていた。西武などで活躍した横田久則コーチ(39)直伝のシュートだ。3月末から練習し、早々とものにした。持ち球はスライダーとカーブだけだったが、逆方向への変化球も増え幅が広がった。「ファウルも空振りも取れる」と手応えは十分だ。

埼玉に住む妻・美奈子さん(31)は29日のホーム初戦を観戦する予定だが、28日の開幕戦は敵地・三条で行われる新潟戦。「29日に来てくれるんですけど、自分は新潟で投げたいんで」と小園。
開幕戦で勝ち投手になり、胸を張って富山で吉報を伝える。

2007年04月18日掲載

草島 諭〜鋭い振りで広角に打ち分ける安打製造機


鋭い振りから広角に打球が打ち返される。はじき返された白球は、面白いように安打ゾーンに飛んでゆく。
「草島の打撃はいい。首位打者争いに加わると思っているんだよ」鈴木康友監督(47)も太鼓判を押す打力で大暴れする。

芳野中時代には高岡リトルシニアでプレー。日本代表にも選ばれた。高岡第一高でも一日1000スイングをして得意の打撃に磨きをかけた。

才能は富山国際大で開花。1年の秋からクリーンアップを打ち、同大の北陸大学リーグの優勝に貢献した。その後も不動の3番打者として3季連続の準優勝に貢献。安打製造機として打ちまくった。だが3年秋のリーグ戦途中に部活動の方向性の違いから退部。
野球をする場所。そして人生の目的すらも失い始めていた。

転機は急に訪れた。

北信越BCリーグの設立が発表され、生まれ故郷にプロ野球ができることになった。
「自分が卒業する年に、地元に野球チームができる。まだ野球をやりたい」ほとんど体を動かしてなかったが、ぶっつけ本番でトライアウトに挑み合格した。

3月のチーム始動後から、常に笑顔だ。
「約1年半、野球をしていなかったですから。毎日野球ができて充実しています」17日の石川戦でも4回に適時二塁打を放ち存在感を見せつけた。
「最低打率3割5分。首位打者を目指したい」

苦難の時を乗り越えて、地元で花を咲かす。

2007年04月13日掲載

大瀧 紀彦〜親友・隠善と同じ舞台へ挑戦のとき

目標は、友と再び同じグラウンドでプレーすること。
努力の鬼が富山での活躍を誓う。しなやかなフォームからMAX143キロの直球とカーブ、スライダーを投げ分ける大瀧。優しげな顔。
だが、目線の先には常に1人の男が映し出されている。
隠善(いんぜん)智也。今年から育成選手として巨人に入団した期待の内野手とは、広島国際大で同期。だが、社会人チームなどを受けて落ちた大瀧と対照的に、大の仲良しの隠善はNPBへの道を切り開いた。「うれしい反面、自分絶対、行ってやると思いました」。
野球を続けるために、そして、友に追いつくために北信越BCでプレーする。
才能に恵まれているわけではない。身長も175センチと投手にしては小柄な部類。だが、練習量では誰にも負けない。大学では100メートルダッシュを1日に100本こなす日も。「周りの選手からは、バカだと言われていました」。けがに泣かされ、公式戦で1球も投げられない中、自らを追い込み続けた。
才能がようやく開花し始めたのは大学4年の秋。初の公式戦登板も含め、9試合に投げて6勝3敗の好成績。「日に日に球が速くなっているのがわかった」。多くの同級生は4年の春のシーズン終了後に引退したが、遅咲きの男はその後、成長期を迎えた。「まだまだ力は伸びると思います。このままなら 150キロも夢じゃない」。「富山発NPB行き」のチケットは自らの手でつかみとる。

2007年04月11日掲載

松本 真佐紀〜家族の支えで夢掴む

テークバックの時に、大きく背中に回った右腕が反動を利用して鋭くしなる。独特のフォームから放たれる富山・松本の直球は最速146キロ。
7日に行われた石川との練習試合では9回に登板。2四球などで無死満塁のピンチを招いたが、力のある直球を武器に2者連続三振などで無失点に抑え、大喝采を浴びて一躍チームの人気者にのしあがった。「本当は野球をやめようと思ってました」と松本は打ち明けた。

昨年7月に大学の同級生・みどりさ(23)と結婚。今年の2月には長女・七海ちゃんも生まれた。このリーグの基本給は約15万円。家族を養うには厳しい額だ。だが、愛妻に「ずっと野球を続けてほしい」と言われ、リーグのトライアウトを受けた。
その結果、補欠合格で富山に滑り込んだ。
未完成だが、スピードは十分だ。岡山商科大入学後に内野手から投手に転向。大学卒業後に入ったクラブチームの鳥取キタロウズで、投手暦5年目にして146キロを記録した。

「目標はまず150キロを出すことです」さらっと大台超えを宣言するところに大物の片りんが見える。
妻子もちのため、リーグでプレーする期間は2年と決めている。
「(家族には)今まで迷惑をかけてきた。NPB(日本プロ野球機構)に行ってプラスに返したい」と右腕で夢をつかみとる。

プロフィール

とやま・いしかわ報知
「スポーツ報知」にて富山、石川に密着したスポーツ記事を掲載中。

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